2019/05/12 カテゴリ:開発 スタッフ
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2018年7月初夏
トイファクトリー本社の会議室では、両社の技術者が議論をつづけていた。
車を市場で販売する為にはいくつもの基準をクリアし、自動車製造特有の法規を満たさなければならなかった。そして最初に直面したのは、布地の難燃証明であった。
難燃評価はカリモク家具にとって、初めての試験であった。
数か月後、カリモク担当者が1枚の資料を持って会議に飛び込んできた。
「難燃証明取れました」
基準のクリアを証明することができた。
次に直面した困難は塗装の仕上げであった。
ウォールナットの風合いを活かすためには、塗装を厚塗りしない事だった。
それとは反対に耐久性を強くするためには、厚塗りをする必要があった。
そこで行ったのが、試験片を使用した耐久試験であった。
カリモク家具の実験室にウォールナットのテストピースを持ち込んだ。
このテストピースには、複数の塗装パターンが施されている。
特殊な専用試験機にセットする。この試験機は強い太陽光を再現できる装置だ。
テストピースに強力な光を当て続ける事で、複数年相当の太陽光照射を数日で行うことができる。
実験の結果、天然木の風合いを残しつつ、耐光性に優れた塗料の配合と塗付量を見つけ出すことができた。キャンプ場やレジャーの現場での強い太陽光を浴びながら、材質本来の風合いを表現する事ができたのも、カリモク家具の試験の賜物であった。
そしてこのプロジェクト最大の課題となったのは、車の中という特異環境に耐えられる家具にする事であり、日本の春夏秋冬のどの環境でも耐えられる事を証明することであった。
日本特有の
高湿度、低湿度の繰り返し
高温、低温の繰り返し
それも一般の家屋内よりもさらに厳しくなる車内が条件となる
「真夏の車内を想定し高温は80度」
「真冬の車内を想定し低温は-20度」
「梅雨の時期を想定し、温度50度、湿度80%」
これらの繰り返し環境下にあっても、無垢で出来た家具に変形や劣化がない事を証明する必要があった。
ここでも、カリモク家具の環境試験機が活躍した。
高温・低温・高湿度をコントロールする事が出来る実験設備である。
通常カリモク家具では一般的な家屋に設置する家具の環境実験を行っているため、
80度、-20度と言った環境を再現する事はなく、この試験条件は今回が初めての事だった。
そしてこの温度設定は、試験設備で設定できる値の下限値と上限値であった。
試作家具を試験に投入し、約1週間の繰り返し試験を行った。
結果は「◎」となった
そりや歪といった変形はなく、割れ、クラック、膨張と言った劣化も見当たらなかった。
同時にトイファクトリーが生産する家具の試験も 同じように行われ、カリモク同様にそりや歪の変形がなく、割れ、クラック、膨張に関しても劣化が見当たらなかった。これにはカリモクの担当者も製品精度の高さに驚いて頂いた事が我々としても本当に嬉しかった。
トイファクトリーとカリモク両社の技術者は、安堵の胸をなでおろし、
「ようやくこれで製品化が出来る」と強く決意した。
幕張メッセの発表まで、あと半年となり、開発の最終段階に差し掛かった。
そして、量産同等の試作車を製作する事となった。
試作車の製作は順調に進み、2018年10月初旬には1台の試作車が完成した。
ただそこで終わりではない、
役員監査、品質監査、製造部監査を経て、
「最高のデザインである事」
「トイ品質を満たしている事」
「生産性のある構造である事」
これらすべてを成立させる為に、試作車には関係部署から多くの指摘が寄せられた。
そしてその指摘事項すべてをつぶし込み、ようやく販売モデルの姿となるのであった。
これは、トイファクトリーとカリモク家具の共同開発だからこそ実現できたプロジェクトであり、設計者やデザイナー、製造担当者など、プロジェクトに関わったすべての技術者のベクトルが一致した事で、プロジェクトの成功への道が切り開かれたのであった。キャンピングカー業界初のコラボレーション。
トイファクトリーは常に流行の一歩先を行き、常にあたらしいスタンダートを創造し続ける。と我々のクレドに書かれる思いと共に
「いつも始まりはトイファクトリーから」がここからはじまる
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