ワールド・ソーラー・チャレンジ2011「CRUISING DAY」
レースのスタートは毎日朝8時、走行終了は17:00と決まっている。
だが、今朝のスタートは事情が違った。
前方地点の広範囲で山火事が発生しており、影響を受けて走行を止められたチームとの公平性を保つためTEAM OKINAWA もコントロールストップでの待機を命ぜられた。
出発は11:53。
走行終了まで5時間7分、通常の約半分の時間で320kmを無事走破した。
今日一日は、レースとしては平穏なクルージングデイというところか。
ここでTEAM OKINAWA の編成を紹介しておきたい。
まず、レースのレギュレーションに従って車両は先頭を行くLEAD CAR とその後ろのソーラーカー、そして後方をガードする CHASE CAR の3台で構成される。
この3台はレース中、フォーメーションを崩すことを許されない。
LEAD CAR とソーラーカーの間隔は最大で500m、大型車両が隊列を追い越してきた時に割り込める距離を要求される。
スチュアートハイウェイにはロードトレインと呼ばれる、最大で53mものカーゴ連結トラックが頻繁に走っている。追い越される時も、すれ違う時も最も緊張する瞬間になる。
ソーラーカーとCHASE CAR の間隔は逆に短いことを要求される。
2秒ないし3秒で到達できる距離、20mから30mを保つのは追従するCHASE CAR ドライバーにとって楽ではないが、間に他の車両が進入するのを防ぐことが役目として課せられている。
それはまるでクォーターバックをガードするディフェンスのよう。
ヒナを護る親鳥のように3000kmの旅を続けるのだ。
各車両は無線で連絡を取り合い、太陽とバッテリー消費の兼ね合いを見ながらターゲットスピードを変えレースを組み立てて行く。
この隊列にレギュレーションに拘束されない遊撃車、スカウトカーが加わり前方を広くカバーしながら情報を送ってくる。
さらにチームに同行している報道車、メディアカーが隊列を追い越しながら、並走しながら、時に前方で待ち伏せしながら撮影のチャンスを窺う。
短い一日が終わり、例によってハイウェイ沿いの荒野でビバーク。
今日のレースを振り返り、それぞれにインターネット経由で日本への情報送信に忙しい。
この記事もインマルサット衛星経由のグローバル・アクセス・ネットワークを使って日本に送っている。
オーストラリア荒野上空のはるか彼方、インマルサットがいると思われる星空を見上げつつ、明日の健闘を誓う。